なびの洋裁教室ブログ

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CHINA備忘録⑨ 夏の出来事:公開裁判。

あれは確か、7月頃。

朝、工場の4階にある設計室へ出勤すると、誰もいません。

事務室や他の作業場も人がほとんどいません。

 

窓から道路を見てみると、

道路を群集が埋め尽くし、一方に向かって黙々と歩いています。

 

何が起こったのか?

 

同じ設計室の設計師の妹がいたので聞いてみると、

「一緒に連れて行ってやる」

と言うのでついて行きました。

 

群集に混じって、歩いていくと

着いた場所はちょっとした広場でした。

 

そこには町全体の人が集合したのか?と思うほど

たくさんの人に埋め尽くされており、そればかりか

崖のくぼみや、木の上、屋根…

ありとあらゆるところに

人が鈴なりになっていました。

 

やがて青いトラックが入ってきました。

 

トラックの荷台には十数人の人が立ったまま乗っていました。

各人何か板のようなものを

首からぶら下げています。

 

広場にはにわか作りのステージのような台と

その横に簡易な机があって、数人が座っていました。

 

荷台の人は手を縛られており、

1人ずつステージに立たされました。

 

NAVIのまわりの群集は皆興奮していて、ものすごい熱気です。

 

 

 

これが公開裁判ということにやっと気が付きました。

 

 

 

突然行ったので写真はありません。

一番近い画像はこんな感じです。

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これは文化革命時代の公開裁判の様子ですが、

田舎ということもあるのでしょうか、

NAVIの見た光景はこの画像とほとんど同じでした。

 

ステージではひとりずつ罪状が読み上げられ、

即座に判決が言い渡されます。

NAVIの理解力では何を言っているのかわからなかったのですが、

連れて行ってくれた毛さんが、

「この人は殺人」

「これはゴーカン」

「これは盗み」

などと説明してくれました。

 

それを見守る群集の熱気には怖いものがありました。

内に秘めたる激情…とでも言いましょうか。

 

もし、誰かが

「ここに日本人がいるぞ!」

と叫ぼうものなら

きっとNAVIは殺されていたことでしょう。

 

NAVIはただひたすら、NAVIの姿が目立つことなく

群集に溶け込んでいることを祈り、声をひそめていました。

 

やがてすべての罪人の罪状が決定しました。

死刑は3人です。

 

死刑は場所を変えてすぐに施行されます。

死刑囚は再びトラックの荷台に乗せられ、

トラックが出発し、施行を見ようとする人々がトラックの後を追います。

 

毛さんが

「NAVIも見に行く?」と聞いてくれましたが、

NAVIは怖くなってしまい、

見に行くことが出来ませんでした。

死刑執行も怖いですが、

それよりもそれを見ている群集が怖かったのです。

 

中国人は歴史的にも日本人には真似のできない残酷な

ことを行ってきました。

この公開裁判以外にも、中国人の秘めたる残酷性について、

そこはかとなく感じることがありました。

 

同僚の設計師さんたちと、たわいのないおしゃべりをしていた時のこと。

皆さん小柄でかわいくて感じの良いお母さんたちです。

近くでバラバラ殺人事件があったという事で、

事件について話していました。

皆口々に「恐いわ!」などと言っているのですが、

それはそれは楽しそうで、

目が爛々と輝いて興奮しているのです。

(この感覚は日本人にはないわ~)

とNAVIは感じたのであります。

たわいのない日常の一コマですが、

皆さんのぎらぎらとした目は今でも忘れることが出来ません。

 

こう思うと、中国人の惨忍性はきっと

DNAに組み込まれているものと思います。

日本では一度も感じたことのない種類のものです。

残酷を楽しむ、これが中国人の奥底にきっとあります。

すべての人がそうであるとは言いません。

しかし惨忍性を発揮する割合は大和民族より圧倒的に多い、

ということと、惨忍なことをしなくても、

それを許容する精神性があるのです。

 

 

盗人の場合は、

中国人でばれなければ盗みを働く人は全体の8~9割。

多分日本人とは逆の割合、というのがNAVIの個人的実感です。

中国人の感覚では盗みは悪ではありません。

罰せられるからやらないだけです。

これもNAVIの個人的な実感です。

 

 

トラックが去って、死刑執行見学の群集があとを追い、

裁判はお開きとなりました。

 

アイスキャンディ売りが来ており、

毛さんが買ってくれました。

汚い小さな布団に覆われたアイスキャンディは

恐れていたより素朴で美味しくてお腹もこわしませんでした。

1本5毛です。日本円で5円でした。(当時のレートで)

 

 

 

 おわり。