ロックミシン雑感。
なびのロックミシンの歴史は
初めて職業用ミシンを購入した時から始まります。
中学一年生の時に買ってもらったブラザーの家庭用ミシンが
ミシン歴の始まりで、長く苦楽を共にしました。
専門学校時代もこの家庭用ミシンで乗り切りました。
フリーでデザイン活動をしていて、
朝から晩までミシンを使うことがあり、
その時、フットコントローラーが異常に熱くなってしまい、
家庭用モーターの限界を感じるようになりました。
その時代、職業用ミシンは机付きの鋳物(鉄)タイプが主流で、
今のようなプラスチックボディのポータブルは出ていませんでした。
やってきました。
実は言うと、両方とも母が買って送ってくれたので
なびは選んでいないし、値段も知らないのでした。
(ちなみになびの母は特段ミシンを知っているわけではありません。)
親がかりでミシンを手にしたわけですが、
制作の世界の扉が新たに開く瞬間であったかも知れません。
機械としては優しく芯の強いブラザー、
「ザ・機械」のJUKI、という印象です。
糸掛けには、ま~~泣かされました。
30分かかっても上ルーパー糸がうまくかからない。
糸が切れてしまうと糸掛けに時間がかかってしまい、
糸替えが恐怖になってしまう気持ちはよく理解できます。
実は今でも糸替えは少し憂鬱。
出来れば変えたくない。
でも、以前の憂鬱な気持ちはそれほどでも無くなってはいます。
まず一から糸替えをすることはほとんど無い、と言う事と、
悩みの種だった上ルーパー掛けが昔に比べると
改善されているからです。
と言っても、エアースルーを言っているのではありません。
エアースルーと言うのは別世界のお話です。
このロックはJUKIロックから買い替えて15年くらいの「衣縫人」です。
糸掛けは従来通りのものです。
15年間トラブルもなく、糸調子をこまめに面倒を見ればよい優秀選手です。
糸変えは結んで変えるので、一から変えることはほとんどありません。
上下ルーパーは針穴が大きいので結び目で詰まることはほとんどありません。
針は穴が小さいので切れやすいですが、最近はカラカンするのではなく、
糸を引っ張って様子を見ながら針まで通すので、割合順調です。
(カラカンというのは布を縫わないで糸を出していくこと。ロックは出来ますが、
一般ミシンではしないでくださいね。)
このロックは最近中古で購入した
「エアスルー」の衣縫人です。中古なので正直言って未知数です。
音がうるさいのが心配です。
同じ衣縫人ですが、違いはこのエアスルーのみです。
説明書を見ますと、「糸替えの時は糸を結んで引っ張って出してください。」
とあるので、「あれれ?」と言う感じですが。
同じ引っ張るならわざわざエアスルーを買った意味があったのか?
という疑問は残ります。
万一途中で切れてしまった場合に威力を発揮するのでしょうか。
どちらにしても、エアスルーは1台は手元に置いて、
その性質を試してみたかったので、これからが楽しみです。
ご家庭でニットを気軽に縫えるように、というものですね。
カット&ソーンをよりニット寄りにした、と言いましょうか。
カバーステッチと言うものが出来るタイプです。
T-シャツやトレーナーに使われていますね。
この縫い方ですと、伸びるんです。
この縫い方の代表的なミシンは「ふらっとろっく」があります。
これはベビーロックさんの機種で、カバーステッチ専用ですので、
普通のオーバーロックと言われる、切りながら縫うロックは出来ません。
なのでこれ1台でニットを縫うことは出来ず、他にロックミシンが
必要になります。
「え~!それではイヤ!」
と言う方のために、複合機が出ています。
ベビーロックの「縫希星」や「縫工房」
JUKIからも出ていますかね。
5本糸の縫工房です。
こちらは最上級機種の「ほうきぼし」
すごいな~…希望価格¥390,000だって!
実際はいくらで買えるのかな~?
いろいろ出来るようですね。
中でもインターロックと言って、本縫いとロックが1度に出来るのが
魅力です。
よくシャツの脇縫いとかに使われている縫い方ですね。
ただ、本縫いはチェーンステッチになるので、糸が切れると
スラスラほどける可能性があります。
これが1台あれば重衣料以外は縫えますね。
あ、縫い代を割りたい場合でもチェーンステッチが出来るので可能か…。
価格もびびりそうなくらい高いです。
きっと半額近くくらいにはなるのでしょうが…。
そしてその評判は、と言うと。
機能を変えるときのなんちゃらがとても面倒らしいです。
あと、講習を受けないととても使いこなせない、とも聞きます。
複合機ならではの機能変更の手順が一般人に使いこなせるかどうか、
ということでしょうか。
なんとなくわかります。
「簡単にあれもこれも出来ます」とか言って、
簡単に出来た試しはないからね~。
「あれこれ出来る」と「簡単」は反比例するというのが実感です。
でも「簡単」と謳わないと消費者は逃げてしまうし…。
いろいろ検討して、なびには合わないと思いました。
理由その1、糸替えも面倒に思うなびに出来るのか?
その2、針を1本付けることを嫌って新しくロックを買ったなびが
細かなアタッチメントの交換が出来るのか?
などなど。
たぶん、ここちょっとだけこの機能を使いたい!と思っても
なにやらかんやら付け替えたりするのが、きっと面倒なんだろうな~
と想像するのであります。
実は「縫工房」の安い出物があったので「やったー!」
と飛びつきそうになったのですが、
少し調べたら上記の疑問が浮上したので思いとどまったのでした。
考えて見れば、機械というものは
それ専用というものが最強なんです。
縫製の世界では「閂専用」とか、「8番糸専用本縫い」とか
「それだけ」しかできないミシンが普通。
なびはそこまで専用的なものは必要ないので
多機能であればうれしいのですが、
重要なのは使い勝手が良いこと。
基本的にはきれいに縫える本縫いミシンとロックがあれば良いのです。
ミシンの世界も日進月歩、めざましく進歩しているように見えます。
機能と使いやすさは共存するのでしょうか。
なんでも簡単に出来るのは良いようであって、
もしかして何かを犠牲にした結果かも知れません。
家庭用ミシンで糸通しが出来なくなったから、
捨てて新しいミシンを買いたい、という方がいました。
糸通しという機能はあれば便利なものですが
無くてはならない機能ではありません。
でも、「完璧」を求める方にとっては
糸通しの不具合=欠陥品の不用品になるのです。
また、「自分で糸掛けをしなくてはいけないの?」と
聞かれたことがありました。
まさかミシンの前に座るだけで作品が出来上がる、みたいな
そんな魔法のように思っていらっしゃるのか?
とか思ったことがありました。
私たちって人間としての機能が低下してしまったのでしょうか。
そのような方が増える中、ミシンは便利に簡単に優しく優しく
消費者に寄り添って来たように思います。
機械が賢くなれば人間は工夫をしない分、
どんどんアホになっているような気がします。
かく言うなびも面倒なことを厭うアホであるので、
大きなことは言えないのですが。
ロックミシンでも、普通のミシンでも、
購入したらそのミシンと格闘して行きたいと思います。
なびもそうですが、たぶん、そのミシンの性能の半分も
きっと使っていないのではないか?と思います。
使わないことに比べれば、ただ一つの機能しか使わない、
でも良いのですが。
機械は使ってあげる。
これに限ります。
ぐだぐだととりとめなく書いてしまいました。
時々、与太話をさせていただきます。
よろしくお願いします。